俳句の作り方 さくらんぼの俳句

さくらんぼのやうな言葉を交はしをり  伊庭直子いばなおこ

さくらんぼの ようなことばを かわしおり

さくらんぼが夏の季語。

 この句はネット公募のHAIKU日本で2022年佳作を獲った作品です。

 

 句材を探しに近所の草花を観察していました。

そのとき見知らぬ女性に声をかけられました。

「綺麗ですね」

私たちは薔薇を見ていました。

私も「きれいですね」と返しました。

 さくらんぼは、二つの実が茎の先でつながっています。

二つつながりです。

この句で言えば、さんらんぼの実は「きれいですね」に相当します。

「綺麗ですね」「きれいですね」という会話からさくらんぼを発想しました。

さくらんぼのやうな言葉を交はしをり

 

 さくらんぼの有名俳人の句をご紹介します。

恋文の起承転転さくらんぼ  池田澄子いけだすみこ

こいぶみの きしょうてんてん さくらんぼ

作者は自分宛てにきたラブレターを読んでいます。

この手紙は起承転結でなく起承転なのです。

まさにさくらんぼのように転転としています。

とりとめがありません。

それでも微笑みながらさくらんぼをふくんで何度も読んでいます。

恋文の起承転転さくらんぼ

 

 愛憎や指に振子のさくらんぼ  山本花山やまもとかざん

あいぞうや ゆびにふりこの さくらんぼ

男と女が大喧嘩しました。

部屋の中に居座っている男を女がチラチラ見ています。

さくらんぼを振り子のようにもてあそびけながら・・・。

愛憎は情動の振り子です。

愛に満ちた心持ちのときもあれば、憎いと想う時もあります。

振り子のように揺れるのが男女の気持ちです。

愛憎や指に振子のさくらんぼ

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