俳句の作り方 ダリアの俳句
眩しきは緋色の自尊ダリア咲く 伊庭直子いばなおこ
ダリアが夏の季語。
この句は2023年『河』誌8月号に掲載された作品です。
『河』は創刊1958年12月。
角川春樹責任編集の月刊誌です。
誰にでも自尊心はあります。
体の小さな天道虫や、そうダリアにだって
自尊心があると思えてなりません。
命あるものすべて自尊心があります。
私はそう思います。
鮮やかな赤いダリアが咲いています。
眩しい。
眩しいのはダリアの自尊心のためです。
眩しきは緋色の自尊ダリア咲く
有名俳人のダリアの句をご紹介します。
恋人とポンポンダリアまでの道 坪内稔典つぼうちねんてん
季語はポンポンダリアで夏。
ポンポンダリアの畑まで、恋人と手をつないで歩いています。
楽しくってポンポン。
わくわくしてポンポン。
ポンポンと弾むような気分です。
皇帝ダリアでは気分がでません。
小ぶりで愛らしいポンポンダリアでなくてはなりません。
何よりもポンポンがまるで擬態語のように使われています。
それがこの句のミソです。
恋人とポンポンダリアまでの道
坪内稔典についてお話します。
1944年愛媛県生まれ。
大学の助教授や教授、そして中学校の校長を歴任。
高校時代から句作を始める。
学生俳句連盟の中心人物となる。
各賞の受賞歴あり。
坪内の俳句は一見ナンセンスな軽快で覚えやすいリズムを持つ。
その本質は「簡単に覚えてどこででも口にできる」ことであり、
ことわざと同じく短くて、言外に想像を膨らませる力を持つ。
恋人とポンポンダリアまでの道
坪内捻典氏の句は俳句で、伊庭さんの句は一行詩だと思いました。
どう感じるかは人それぞれの好みだと思いますが、私は一行詩の方が胸に響きます。