俳句の作り方 蜩の俳句

かなかなや掬えば消える海の青  対馬康子つしまやすこ

かなかなや すくえばきえる うみのあお

かなかな(蜩ひぐらし)が秋の季語。

 

 体色は赤褐色か黒褐色で、緑色の斑点が頭などにあります。

夜明けや夕方に、カナカナと哀調のある声で鳴き

はかなさとともに透明感があります。

 

 句意を申し上げます。

海はあんなにも青いのに、掬うとその青さは儚く消えてしまう。

ああ、かなかなが儚げな声で鳴いているよ。

かなかなや掬えば消える海の青

 

 

 対馬康子の略歴をご紹介します。

1953年生まれ。香川県出身。

小学校高学年より詩に興味を持ち始める。

高校生と大学生の時、文芸部に所属する。

東大学生俳句会との合同ハイキングで西村英俊(俳号我尼吾)と出会い

俳句を作り始める。

 25歳の時、西村と結婚して夫のアメリカ留学に伴い数年住む。

海外時代の作品により「麦」作家賞受賞。

以降、さまざまな審査委員長を務める。

現在、現代俳句協会の副会長。

 私は、会長の久保純夫氏が講師を務める講座を受講したことがあります。

興味のある方は、心斎橋大学に問い合わせてください。

 

 

 他のひぐらしの著名俳人の句をご紹介します。

ひぐらしをきく水底にゐるごとく  木内怜子きうちれいこ

ひぐらしをきく みなそこに いるごとく

 

 句意を申し上げます。

寂しいひぐらしの声を聴いている。

まるで水底で息をとめて聞いているかのように。

 鑑賞。

誰もいない森の湖の底に、私はいます。

蜩の声が、心にしみて物思いに沈んでしまいます。

ひぐらしをきく水底にゐるごとく

 

 

俳句の作り方 蜩の俳句” に対して1件のコメントがあります。

  1. 大谷元秀 より:

    かなかなや掬えば消える海の青 いい句ですねぇ。
    大きい景の海と儚く泣く蜩の対比の見事さ、感心致しました。
    伊庭さんのお陰で感動の句に出会う事が出来ました。
    有難う御座います。

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