俳句の作り方 月の俳句
出て来よと月の誘へる今宵かな 伊庭直子いばなおこ
でてこよと つきのさそえる こよいかな
月が秋の季語。
この句はネット公募のHAIKU日本で佳作を獲った作品です。
元の句は、月の音に誘はれ出でる不思議かな でした。
U-CAN生涯学習局 俳句入門講座の添削指導で
出て来よと月の誘へる今宵かな に修正されました。
そして講評欄には
「月を『月の音』で示すのはどうでしょうか?
月が皆さんに『出て来い』と誘っているようだとしてみます」
出て来よと月の誘へる今宵かな
また総評には
「作者(自分)の言わんとしていることに必要な語かそうでないか
きちんと働きを見てみることが大切です。
思いがうまく伝えられる言葉を選ぶようにしてみましょう。」
以上がU-CANの添削指導です。
5年前の元の句の評かは○(まずまずの作品)でした。
その後、腕を上げました。
初心者の皆様にはU-CAN生涯学習局の俳句入門講座をお勧めします。
必ず上達します。
月を用いた私の他の作品をご紹介します。
客去りて月の雫の水飯よ 伊庭直子いばなおこ
きゃくさりて つきのしずくの すいはんよ
この句は2023年10月号の俳句誌『河』に掲載された作品です。
水飯が夏の季語。
夜、料理でもてなした招待客が帰っていきました。
ホッとして冷めた白ご飯に冷たい水をかけてさらさらと食べます。
「月の雫」というのは白い茶碗に白飯をよそうときにひらめきました。
比喩です。
客去りて月の雫の水飯よ
あくまで私の私見ですが、二つの句から何方か一つを選びなさいと問われたら、添削された 出て来よと月の誘へる今宵かな より、客去りて月の雫の水飯よ の句を選びたいと思います。
何故ならば、出て来よの 句は確かに美しい句で良いとは思いますが、客去りての句の方が個性的で感性の矢が鋭いと思われます。
出て来よと月の誘へる今宵かな
この添削よくないです。申し訳ありませんが、俳句のプロが添削したとは思われません。特に今宵かなの表現が平凡です。初心者の句であれば、合格ですが。雰囲気としては、むしろ原句、月の音に誘はれ出でる不思議かな のほうがいいです。ただ、月の音と出でるとかなが気になりますが。月と誘へると不思議を生かして連想・推敲すればきっと秀句が生まれると思います。
客去りて月の雫の水飯よ こちらの句のほうが数段いいです。