俳句の作り方 冬紅葉の俳句

冬紅葉尼僧の過去は聞かざりき  橘沙希たちばなさき

ふゆもみじ にそうのかこは きかざりき

今年は11月8日が立冬です。

なので紅葉が一面に色づくには早い地方もあるかと思いますが取り上げました。

冬紅葉が冬の季語。

 

 しんしんと冷える中、尼寺の紅葉が美しい。

尼僧の過去は尋ねなかったなあ。

 冬紅葉尼僧の過去は聞かざりき

 

 尼僧の法話が終わって、作者は語り手に大いに興味を持ちました。

尼になる前はどんな人生だったのだろう?

きっと辛酸をなめたにちがいありません。

男にひどいやり方で捨てられたのだろうか?

それとも愛する人々を次々に失ったのだろうか?

あるいは詐欺被害にあって全財産を失ったのだろうか?

いずれにせよ辛い人生を歩んできたに違いありません。

それ故に好奇心から過去を尋ねることは控えたのです。

 冬紅葉尼僧の過去は聞かざりき

 

 

 尼僧を用いた他の俳句をご紹介します。

羅や尼僧にちらとネックレス  夏目和子なつめかずこ

うすものや にそうにちらと ネックレス

羅が夏の季語。 薄い織物のこと。

 

 この句には想像力を掻き立てられます。

わたくしの想像を申し上げます。

 この尼僧は尼になる前、寒風吹きすさぶ東尋坊で投身自殺を図りました。

それを止めたのが一人の女性でした。

女性はこんこんと命の大切さを説いたので、当人は思いとどまりました。

その時、女性はシンプルな金のネックレスをしていました。

それを当人に授けました。

「このネックレスはあなたが力強く生きようとした証。」

以来、かたときも離さずネックレスを首にかけるようになりました。

思うところあって尼僧になってからも命の証のネックレスをしています。

 羅や尼僧にちらとネックレス

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