俳句の作り方 氷の俳句
友あれど純水氷のごと孤独 伊庭直子いばなおこ
ともあれど じゅんすいひょうの ごとこどく
この句は2022年2月号の『河』に掲載されました。
氷が冬の季語。
日本の美しい季語を4つご紹介します。
①氷面鏡ひもかがみ
氷面がなめらかなので晴れた日に光って鏡のように見えること。
②蟬氷せみごおり
蝉の翅のようにうすく張った氷。
③氷橋こおりばし
川や湖沼が凍って人が渡れるようになったもの。
④御神渡りおみわたり
長野県の諏訪湖などの寒冷地では厳寒に全面氷結すると
寒暖差により亀裂が走ります。
その亀裂を御神渡りと呼びます。
さて、この句の説明をいたします。
友達はいるけれど、混じりけのない氷のような孤独を抱えています。
孤独は冷たく清い。
冷たく清い孤独は、時々融けて汚れてしまう。
だからこそ、いっそう孤独をひしと抱きしめて、とけた部分を凍らせ
汚れを隠すように、新たな清い孤独で覆うのです。
孤独は清らかでなければなりませんので・・・。
冷たい孤独は抱きたくはないけれど、清い故になぜか愛おしい。
孤独は私にとって友達なのかもしれません。
友あれど純水氷のごと孤独
ところで前回のブログの私の無季俳句、
「烏宙論」あくがれば遠し荒野道
うちゅうろん あくがればとおし あれのみち
この句にも孤独を内包しています。
「烏宙論」に掲載されている深くて幻想的な俳句を目指す道は
困難で孤独です。
たった一人で荒野道を進まねばなりません。
孤独です。
「烏宙論」あくがれば遠し荒野道