俳句の作り方 蒲公英の絮の俳句

 

意志あるごと蒲公英の絮真東へ  伊庭直子(いばなおこ)

「蒲公英の絮」はタンポポのワタと読みます。

「蒲公英の絮」が春の季語。

 

 句意を申し上げます。

まるで意志を持っているかのように蒲公英の綿毛が真東へ飛んで行ったよ。

 

 この句は2020年令和2年、ネット公募のHAIKU日本で

私が佳作を獲った作品です。

この句には脚色した部分があります。

今日は脚色についてお話します。

それには、まず、私が蒲公英をみつけたところから始めねばなりません。

 

 句材を求めて、自宅からすぐ近くにある青空駐車場へ行きました。

地面は、アスファルトやコンクリートでない土です。

駐車場の内側の三辺には草が生い茂っています。

そこに蒲公英の丸い綿毛が一本生えていました。

これを句にできないだろうか・・・?

綿毛をじっと観察しましたが、良いアイデアが浮かんできません。

でもとにかく書いてみました。

 

 光浴ぶ蒲公英の絮真実へ

【真実へ】というのが気に入りませんでした。

見るだけでなく、そっと触って吹いてみました。

絮は風が吹いてなかったので、ふわっと飛び散りました。

そこでひらめきました。

飛び散ってしまう蒲公英の綿毛よりは・・・!

自宅に戻り次の2句を作りました。

 

 一筋に蒲公英の絮真東へ

意志持てり蒲公英の絮真東へ

これを推敲して

意志あるごと蒲公英の絮真東へ  伊庭直子(いばなおこ)

最初に作った、光浴ぶ蒲公英の絮真実へ、の【真実】という言葉から

「真東」を連想することができました。

 

 観察しても観察しても佳いアイデアが浮かばないときは、

何らかの行動をとると新しい展開が訪れます。

つまり、実際に手で触れてみたり、吹いてみたり、

あるいは枝を揺らしてみたり・・・。

そこで得たものを脚色するのです。

リアリティーのある脚色は許されます。

新しい着眼点で脚色すればリアリティーが生まれます。

そのリアリティーは写生を超越します!!

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