俳句の作り方 夏の月の俳句
横顔の弥勒菩薩や夏の月 伊庭直子いばなおこ
よこがおの みろくぼさつや なつのつき
夏の月が夏の季語。
この句はネット公募のHAIKU日本で2020年に佳作を獲った作品です。
奈良県生駒郡斑鳩町いかるがちょうにある中宮寺にお参りした時の事。
弥勒菩薩の半跏思惟はんかしゆい像に胸打たれました。
見とれたのはその優雅さです。
「半跏思惟は仏像の一形式です。
台座に腰かけて左足を下げ、右足先を左ももにのせます。(半跏)
折り曲げた右膝頭に右ひじをつきます。
そして、右手の指先を軽く頬にふれて思惟する姿のことです。」
(ウィキペディアより引用)
また、弥勒菩薩とは釈迦入滅の5億7600万年後に
仏となって衆生しゅじょうを救う修行者のことです。
この菩薩の横顔が慈しみに溢れていて崇高なんです。
目は優しく半眼にひらき、鼻は気高く、
口は愛のために軽くとじています。
お寺を出ると夕方の夏の月が浮かんでいました。
菩薩様のお顔のように涼し気でした。
横顔の弥勒菩薩や夏の月
松尾芭蕉の作品で、有名な夏の月の俳句があります。
蛸壺やはかなき夢を夏の月
たこつぼは漁師がタコ漁のために仕掛けるつぼです。
蛸壺やの「や」が切れ字。
蛸壺はタコに一夜かぎりの宿を与えます。
夜明けには捕えられるタコは、はかない夢を見ていることだろう。
夏の月が海面をこうこうと照らしているよ。
蛸壺やはかなき夢を夏の月
松尾芭蕉について少しだけお話します。
1644年に生まれ1694年没。
江戸時代前期の俳諧師。
現在の三重県伊賀市出身。
連歌の発句ほっく(5・7・5)を芸術性の高い俳句にまで
完成させました。
蛸壺やはかなき夢を夏の月
横顔の弥勒菩薩や夏の月
格調高い句ですね。 実は私も先日から夏の月で作りたいと思っているんですが、なかなか出来ません。
伊庭さんの句が羨ましく思います。