俳句の作り方 枯葎の俳句

すぐそこにゐる子の見えぬ枯葎  岩田由美いわたゆみ

すぐそこに いるこのみえぬ かれむぐら

枯葎が冬の季語。

「蔓性のカナムグラなどが絡まったまま枯れている様子。

夏の間繫茂するが冬は見る影もなく枯れ果てる。」

( 俳句歳時記 冬 角川書店編)

 

掲句の子は、枯葎に隠れる高さから小学生でしょうか。

しかし、実在する枯葎に我が子が隠れて見えないのではありません。

枯葎は暗喩です。

隠喩とも言います。

さて暗喩とは何でしょう?

暗喩とは物事を違う言葉で言い切る比喩表現の一種です。

「ひそかに、暗に」という意味の「暗」と「例える」という意味の「喩」が

組み合わさり「ひそかに例える」という意味合いになります。

 

 

 句意を申し上げます。

作者は子供のある言動からいつもの我が子でないように感じたのです。

そう、まるで異邦人に接しているかのような違和感を覚えたのです。

それが「見えぬ」です。

 あの頃は子供らしくて愛らしかった。

でも今はびっくりするようなことを言う。

蔓が絡まっている枯葎は作者の複雑な心境を表しています。

そして我が子の真の姿を隠す障害物としても表現しています。

子離れしていない気持ちが、そのまま受け入れることを困難にしています。

だからすぐそこにいる子が見えないのです。

 親の心情の機微を詠んだ秀句と言えるでしょう。

すぐそこにゐる子の見えぬ枯葎

 

 

 岩田由美は1961年生まれ。

岡山市出身。

卒業歌ぴたりと止みて後は風

卒業歌が春の季語。

俳句の作り方 枯葎の俳句” に対して4件のコメントがあります。

  1. 大谷元秀 より:

    私はどちらかと言えば、揚句の「すぐそこにゐる子の見えぬ枯葎」より、「卒業歌ぴたりと止みて後は風」の句に魅かれます。
    多分、男性なので母性本能としての視線が欠如しているのかもしれませんね。
    卒業を想う時、何故か中学の時の卒業を想うのですが、あれから自分は随分遠くまで来てしまったなと、ふと想います。
    勿論距離の事でなく、心情的に遠くまで歩いて来たなと、ふと思います。
    これからも何処まで歩いて行くのか、わかりませんが自分なりの歩幅でコツコツと歩くのでしょうね。

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