俳句の作り方 終戦日の俳句
血のごとき一声の蟬終戦日 櫻井博道さくらいはくどう
ちのごとき いっせいのせみ しゅうせんび
8月15日は終戦記念日です。
8月7日が立秋ですから終戦日は秋の季語。
1941年昭和16年に始まった太平洋戦争は
1945年昭和20年に日本がポツダム宣言を受諾して終わりました。
「終戦記念日は戦没者を追悼するとともに、世界で唯一の被爆国として
その体験を後世に伝え二度と同じ過ちが起こらないよう諌めるために設けられました。」
(よくわかる俳句歳時記 石寒太編著)
句意を申し上げます。
静かな真昼時、私(作者)は林を散歩していました。
すると、くま蝉が突然、一瞬鳴きました。
その声はまるで血のように鮮烈に響き渡りました。
声を浴びた私(作者)は血しぶきを浴びたかのように戦慄しました。
ああ、今日は8月15日終戦日です。
血のごとき一声の蟬終戦日
聴覚で捉えた蝉の声を「血のごとき」と視覚や触覚で表現した作者。
視覚は目もくらむ真っ赤な色。
触覚は肌にまとわりつく血しぶきの不快感。
なんと思い切った比喩でしょう!
「血のごとき」でなければ上五はおさまりません。
鳥肌の では締まりません。
「血のごとき」でなければならないのです。
実際に鳥肌が立ったとしてもです。
血のごとき一声の蟬終戦日
櫻井博道について・・・。
生没年1931・1991。
東京都出身。
人間探究派の加藤楸邨かとうしゅうそんに師事した。
昭和30年から40年にかけて活躍した。
始めて出逢う句ですが、強烈な句でドキッとしました。
伊庭さんの句意の説明である聴覚で捉えた声を視覚や触覚で表した作者。見事ですよね。
僕も以前、終戦日の俳句を作った事があります。
『沖縄の高きフェンス終戦日』です。