俳句の作り方 虫籠の俳句
虫籠に星を飼ひならすは淋し 伊庭直子いばなおこ
むしかごに ほしをかいならすは さびし
この句は2021年ネット公募のHAIKU日本で秀逸を獲りました。
虫籠が秋の季語。
選者の鎌田俊氏の評をご紹介します。
「中句の意味の切れ目が下句に跨っている句跨りの一句。
定型を破りリズムを変えて詠むことで『淋し』が強調され
作者の心情がより強く伝わってきます。
遥か彼方で瞬く星を、軒先に吊るした『虫籠』を通して眺めているのでしょうか。
それとも光を発するホタルを星に見立てて詠んだのでしょうか。
ロマンチックな表現となっています。
作者の感じた『淋し』を読者も共感させられ、作者の個性が大いに発揮されています。」
掲句の虫籠は軒先に吊るしました。
蛍を飼育していたわけではありません。
虫を狭い虫籠に閉じ込めるのがしのびなくて、蛍以外の虫も飼ってはいませんでした。
空の虫籠を軒先に吊るしていたのです。
するとどうでしょう。
星が虫籠で光っているように見えたのです。
つまり、瞬く星が虫籠に存在するように見えたわけです。
しかし、捕まえることのできない星が虫籠に存在することの淋しさはどうすることもできません。
虫籠に星を飼ひならすは淋し 伊庭直子いばなおこ
虫籠に星を飼いならすは淋し この伊庭さんの句素晴らしいくですねぇ。
一読してすっかり魅入ってしまいました。
スケールも大きく、そして情感も素晴らしいです。
あくまで私の私見ですが、この句の良さがわからない俳人は、俳人とは言えないと思います。