俳句の作り方 秋茜の俳句
寂しさの結びめとけて秋茜 伊庭直子いばなおこ
さびしさの むすびめとけて あきあかね
この句は2023年ネット公募のHAIKU日本で入選を獲りました。
秋茜が秋の季語。
「前略 成虫幼虫ともに肉食で他の昆虫を捕食する。
都市部では数が減り、とんぼつりをする子供の姿も見られなくなった。」
(俳句歳時記 秋 角川書店編)
句意を申し上げます。
秋茜が群れて飛ぶ様子を見ていると、骨までしみとおる寂しさが、
まるで固く結んだひもがほどけるように和らいだことですよ。
私は墳墓の丘の草原に秋茜が舞っているのを見ていました。
秋茜は池や沼を恋しがっているようでした。
彼らはさざ波のように軽く浮き沈みしながら飛んでいたので、そう思ったのです。
私は死んだ夫を恋しく思って観ていました。
もう夫はかえりません。
この寂しさはどうしようもありません。
スイスイスーイと飛ぶ秋茜。
そう言えば子供のころにも見たっけ・・・。
それに夫が幼いころトンボ釣りをしたのかもしれない。
「あなた」
心の中で夫に呼びかけました。
スイスイスーイと秋茜が飛んでいます。
寂しさが静まるのを感じました。
寂しさの結びめとけて秋茜