俳句の作り方 春の俳句
少年や六十年後の春の如し 永田耕衣ながたこうい
しょうねんや ろくじゅうねんごの はるのごとし
季語は春。
ちなみに今年2025年令和7年の立春は2月3日。
「三春は初春、仲春、晩春。
陽春・芳春は春をさす漢語。
『はる』は晴る、張るの意から万物が発生する明るい季節。」
(俳句歳時記 春 角川書店編)
句意を申し上げます。
ああ少年は六十年後の春のようだ。
少年や六十年後の春の如し
鑑賞してみましょう。
60年後といえば少年は老人です。
彼が老人になったときの春のようだと詠んでいます。
永田耕衣は老いることを肯定しているのです。
老年期の春、それは明るい季節です。
死に向かって行って、死に近づくことであっても明るいのです。
耕衣は年を取ることを温かく見守っています。
なぜなら人はどんな時からでもより充実した人生が、
「今だ」と思った瞬間から始まるのですから。
人生の始まりと言えば少年期ですが、春は1年の始まりに在りその春に少年を例えています。
少年を賛美しているのです。
少年期は春のように美しい。
老人になったときの春のように充実している少年期。
言い換えると老年期も讃えているのです。
耕衣は少年も老人も同等に愛しています。
少年や六十年後の春の如し