俳句の作り方 二人静の俳句
人はふしぎ二人静はしんと咲く 遠藤由樹子えんどうゆきこ
ひとはふしぎ ふたりしずかは しんとさく
「一人静は源義経が愛した静御前になぞらえてこの名がつけられた。」
(俳句歳時記 春 角川書店編)
掲句では二人静が春の季語。
「二人静も低山地に生えるセンリョウ科の多年草。
同属の一人静が通常一本の穂状花序を出すのに対して、
二人静は二本で白い細かな花を開くことから名づけられた。」
「俳句歳時記 春 角川書店編)
人はふしぎ二人静はしんと咲く
句意を申し上げます。
人は不思議な生き物です。
一人静が一本の花茎。
二人静が二本の花茎。
静御前は唯一一人なのに二人静と名付けるなんて、人はふしぎな存在ですね。
そんな二人静がそっと咲いていますよ。
人はふしぎ二人静はしんと咲く
鑑賞してみましょう。
二人静の「二人」を男女と想像してみましょう。
二本の花茎は男と女。
二本は触れることもなくすっくと立っています。
でも元々は同じ茎から伸びています。
男と女は分かり合えることがないにしても、元々は同じ自然の産物です。
そのような男女が静寂を守って生きています。
各々の宿命というべき人生の価値を黙って背負いながら生きています。
そして、二人静のように同じ白い小さな花をびっしり咲かせているのです。
人はふしぎ二人静はしんと咲く