俳句の作り方 亀鳴くの俳句
亀鳴きぬ彼の世の人とまどろめば 古賀まり子 こがまりこ
かめなきぬ かのよのひとと まどろめば
亀鳴くが春の季語。
『春になると亀の雄が雌を慕って鳴くというが、
実際には亀が鳴くことはなく情緒的な季語。
藤原為家の題詠歌
「川越のみちのながぢ(道の長路)の夕闇に何ぞと聞けば亀ぞ鳴くなる」
【夫木和歌抄】によるといわれ古くから季語として定着している。』
(俳句歳時記 春 角川書店編)
亀鳴きぬ彼の世の人とまどろめば
句意を申し上げます。
亀が鳴きました。死後の世界の人と共にまどろんでいますと。
鑑賞してみましょう。
「彼の世の人」とは誰のことを指すのでしょう?
あの世の人ではなく「彼の世の人」から察するに男性ではないでしょうか。
俳句は17音という短い詩です。
短い一行に伝えたいことを、情報を込めなければなりません。
ですから「彼の世の人」に詠んだのは男性です。
さて、亡くなった男性とは誰の事でしょう。
古賀まり子は十代で結核に罹患しました。
療養生活の中で俳句を詠み、キリスト教の信者でもありました。
それならその男性はイエスキリストのことではないでしょうか。
終わりの見えない療養生活に救いを求めました。
十字架上で絶命したイエスは今天国で穏やかに過ごしてします。
イエスと共に、結核の微熱でまどろんでいますと亀が鳴いたのです。
亀鳴きぬ彼の世の人とまどろめば