俳句の作り方  夏蜜柑なつみかん の俳句

     夏みかん酸つぱいしいまさら純潔など  鈴木しづ子

    なつみかん すっぱいし いまさらじゅんけつなど

 

 

     夏みかんが春の俳句。

    「結実するのは秋だが、収穫は翌年の春になってから行う。

    大型の柑橘類の代表的なもので皮が厚いのが特徴。

    果肉は汁が多く酸味が強い。」

     (俳句歳時記 春 角川書店編)

     夏みかん酸つぱいしいまさら純潔など

     

 

 

     句意を申し上げます。

    夏みかんは酸っぱい。

    それに今さら純潔なんてどうでもいい。

    夏みかん酸つぱいしいまさら純潔など

 

 

     鑑賞してみましょう。

    破調の俳句です。

    5・5・10音。

    私(作者、鈴木しづ子)は生活が困窮して売春で、その日を暮らしています。

    そんな暮らしの中で作った俳句です。

     順調に結婚できて暮らしに困らないほど夫に稼ぎがあれば

    つまり、甘いみかんを食べられるのなら純潔を捨てることはありませんでした。

    しかし現実は違います。

    困窮する生活は酸っぱい夏みかんそのものです。

    身を売らねばならぬほど貧窮しているので、私の心はすてばちになってしまいました。

    かつては純潔を守っていることができたのなら結婚相手に巡り合えたかもしれないと

    苦しい後悔にさいなまれたことがありました。

    けれども、今は食べるため男に体を売って米を買っています。

    今となっては純潔なんてどうでもいいのです。

     夏みかん酸つぱいしいまさら純潔など

    

    

    

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