俳句の作り方 夏空の俳句
夏空へクルスの楔打たれけり 真砂あけみ まさごあけみ
なつぞらへ クルスのくさび うたれけり
夏空が夏の季語。
「まぶしいほど晴れ渡った夏空。
エネルギーを感じさせる。」
(俳句歳時記 夏 角川書店編)
夏空へクルスの楔打たれけり
夏空へクルスの楔打たれけり
句意を申し上げます。
夏の空のもと十字架の楔で打ったように、人々の絆が強まったなあ。
楔のご説明をします。
楔は先がⅤ字型で、すきまに差し込んで割って部材をはめ、固定する道具。
ここで注意しなければならないのは、楔を「打つ」と「打ち込む」の意味は真逆という事です。
楔を打つとは人々の団結力が強まること。
楔を打ち込むとは人間関係を分断すること。
従って掲句は絆が強まったことを表します。
鑑賞してみましょう。
2022年2月24日ロシアがウクライナを侵略しました。
半年がたった夏の出来事です。
ある女性がロシア兵によって拷問にかけられました。
ウクライナ領の幼稚園跡の建物の拷問部屋で行われました。
彼女はどんな苦痛にも同志の氏名や集合場所を告げることは決してありませんでした。
息絶えた遺体には両方の乳房が切り取られていました。
集会に顔を出さないことを不審に思った同志数名が、遺体を発見しました。
彼らは驚愕し、恐怖におののき、ロシアへの憎悪が煮えたぎりました。
祈りを捧げて外に出ると空は眩しいほど晴れ渡っていました。
あらためて彼らは祖国を守るため忠誠を固く誓い合うのでした。
夏空へクルスの楔打たれけり