俳句の作り方 茶の花の俳句
茶の花や母の形見を着ず捨てず 大石悦子おおいしえつこ
ちゃのはなや ははのかたみを きずすてず
茶の花が冬の季語。
「茶の木の花。
茶は中国南西部原産のツバキ科の常緑低木で、
初冬のころ葉腋ようえき に小さめの白色五弁の花が1個から3個下向きに開く。
濃い黄色の蕊しべ が特徴でよい香りがする。
植物名は茶。
お茶の花と詠んでいる句をみかけるが、お茶は飲むものにしか言わない。」
(俳句歳時記 冬 角川書店編)
茶の花や母の形見を着ず捨てず
茶の花や母の形見を着ず捨てず
句意を申し上げます。
ああ、茶の花が咲いた。
母の形見は着ていないし、さりとて捨ててもいない。
作者の気持ちになって鑑賞してみましょう。
茶の花が咲くころになると、毎年母の形見の着物をどうしようかと手にとるのがならいです。
よく考えてみると、母の不倫は10年以上つづきました。
父は母の申し立てる離婚に応じませんでした。
母は私の敬愛する父に対して死ぬまで大なり小なり怨念を抱き続けたのでしょう。
そんな母の形見に袖を通す気にはなれません。
それに、この袷あわせ は情夫に逢うためにこしらえたものかもしれない。
また、そちらの道行コートもしかり。
ああ、捨てようか・・・。
でも女の情念のこめられた着物を捨てる事に怖気づいています。
それならいっそのこと庭で燃やそうか!
炎と煙になって、母の情念は成仏するかもしれない。
茶の花や母の形見を着ず捨てず
