俳句の作り方 鞦韆の俳句
鞦韆に夜も蒼き空ありにけり 安住敦あずみあつし
しゅうせんに よもあおきそら ありにけり
鞦韆はぶらんこのこと
鞦韆しゅうせんが春の季語。
「中国北方民族は寒食の節(冬至後105日目)に鞦韆に乗って春の神を呼んだ。
それが春の遊びの季語として広まった。
春の来た躍動感のある季語である。」
(俳句歳時記 春 角川書店編)
鞦韆に夜も蒼き空ありにけり
鞦韆に夜も蒼き空ありにけり
句意を申し上げます。
ぶらんこには夜でも蒼い空があるのだなあ。
鑑賞してみましょう。
私(作者)は夜の空はただ黒いものだと思っていました。
けれども、ある日暮れ、公園のぶらんこを見た時その思い込みがふっとほどけました。
見上げた空は深い蒼色を帯びていたのです。
ぶらんこには、誰もいなくても体温の名残のようなものがあります。
昼の気配や子供の笑い声が静かに空気に溶けています。
その気配の中で見る空は黒ではなく澄んだ蒼い色をにじませていたのです。
心がまだ手放せないものを抱えている時の色でもあります。
その蒼に、私は自分の中の「まだ存在しているもの」を見たのだと思います。
その蒼さは驚きではなく静かな納得でした。
夜にもこんな色が潜んでいたのです。
夜は黒いものだと思い込んでいた私に鞦韆は見えていなかった色を教えてくれたのです。
鞦韆に夜も蒼き空ありにけり
