俳句の作り方 はこべらの俳句
はこべらや焦土の色の雀ども 石田波郷いしだはきょう
はこべらや しょうどのいろの すずめども
はこべらが春の季語。
「ナデシコ科の越年草で、田畑や路傍など、いたるところで自生している。
春の七草にもなっている。
茎は基部が分岐して地面を這い、卵型の柔らかい葉が対生する。
春、白色の小さな五弁花をつける。
鳥の餌にする他、古くから民間薬にも利用されてきた。」
(俳句歳時記 春 角川書店編)
はこべらや焦土の色の雀ども
はこべらや焦土の色の雀ども
句意を申し上げます。
ああ、はこべらが咲いている。
戦争で「家屋・草木などか焼けて跡形もない土地」(デジタル大辞泉)の色をした雀たちの生命力。
鑑賞してみましょう。
地の匂いに咲くはこべらの白が、春の底でひっそり光ります。
焦土の色を残す地面のすぐ上でその白は少し揺れます。
雀の影が横切るたび私は息をひそめて見つめるのです。
影を追うように短い茎の先にただ咲いています。
地面にはもう焼け跡の匂いは残っていません。
色だけがそこにあります。
雀どもはためらいなく地をついばむのです。
私は雀の無邪気さにかすかな痛みを感じています。
焦土の色はもはや絶望の色ではありません。
雀の動きが地上に新しい時間を置いていく。
地の匂いに咲く白は春の光をいっぱい受けています。
私ははこべらのそばで静かに立っています。
はこべらや焦土の色の雀ども
