俳句の作り方 春霙はるみぞれ の俳句
限りなく何か喪ふ春みぞれ 山田みづえ
かぎりなく なにかうしなう はるみぞれ
春みぞれが春の季語。
「春になっても寒いと霙みぞれの降ることがある。
春の霙・春の霰あられ・春の霜はいずれも寒さの中に明るさと美しさを感じさせる。」
(俳句歳時記 春 角川書店編)
限りなく何か喪ふ春みぞれ
句意を申し上げます。
どこまでも際限なく、正体不明のなにかを喪失する春みぞれであることよ。
限りなく何か喪ふ春みぞれ
鑑賞してみましょう。
私(作者)は心細さでいっぱいです。
佳い俳句を作りたいのに出来なくなりました。
今まではできていたのに・・・。
なぜなんだろう?
心細い。
捨て句をいやになるほど作ってしまいました。
捨て句しか作れない焦燥感にさいなまれています。
それでもまだまだ頑張れると𠮟咤しているのです。
励む。
行き詰る。
励む。
行き詰る。
それの繰り返し。
今では焦燥感が消えました。
ぼおっと霙を眺めています。
まるで倦怠の海に沈んでいるようです。
あたかも霙が私から意欲と時間を奪っていくようです。
さらに言えば、春みぞれは私から溌剌さと生きる力を奪ったのです。
佳い俳句を作れた時、私は生きているという実感を持てます。
しかし今は腑抜けになっています。
喪失の春みぞれ。
限りなく何か喪ふ春みぞれ