俳句の作り方     春の闇の俳句

     春の闇瑪瑙をひとつ孕みけり    鳴戸奈菜なるとなな

    はるのやみ めのうをひとつ はらみけり

 

 

     春の闇が春の季語。

    「月の出ていない春の夜の闇を言う。

    『古今集』の<春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やは隠るる>は有名。

    柔らかくみずみずしい闇の中には、芽ぐみ花開くものなどの息吹やさざめきが宿り神秘的な趣も持つ。」

     (俳句歳時記 春 角川書店編)

     春の闇瑪瑙をひとつ孕みけり

 

 

     春の闇瑪瑙をひとつ孕みけり

 

 

     句意を申し上げます。

    春の闇は神秘的です。

    なんと瑪瑙をひとつ宿したことですよ。

 

 

     鑑賞してみましょう。

    春になると光が増します。

    でもどこか湿った影が寄り添います。

    春の闇とはそんな湿り気を帯びた曖昧な暗さを指すのではないでしょうか。

    他の季節の闇とは違い、まるで光のすぐ隣にある静かな陰りのようです。

     ある夜、闇の奥に硬質な光が見えたような気がしました。

    瑪瑙のような冷たさと色を帯びたかすかな気配。

    闇は空虚ではなく、何かを抱え守り育てているのではないでしょうか。

    その思いは「孕む」と言う言葉を生み出しました。

     瑪瑙に託した光は希望とも不安とも言えません。

    けれども確かに光は存在するのです。

     春の闇瑪瑙をひとつ孕みけり

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