俳句の作り方     春の暮の俳句

     いづかたも水行く途中春の暮    永田耕衣ながたこうい

    いずかたも みずいくとちゅう はるのくれ

 

 

     春の暮が春の季語。

    「春の夕べ、日暮れ時。

    日ごとに日の暮れるのが遅くなり、駘蕩たいとう とした気分が漂う。

    春季の終わりは『暮の春』といって区別する。」

     (俳句歳時記 春 角川書店編)

     いづかたも水行く途中春の暮

 

 

     いづかたも水行く途中春の暮

 

 

     句意を申し上げます。

    春の暮はどこを見ても万物はまるで水の流れている途中のようだ。

 

 

     鑑賞してみましょう。

    春の暮、私(作者)は川の流れを見つめていました。

    どの道を選んでもこの川へ行き着くように思えます。

    水音は静かでただ淡々と流れています。

    その無言の流れに春という季節が滲んでいました。

     流れは戻らず形をとどめません。

    流れの「途中」に、私が置かれていると気づきました。

    すると胸の奥に言葉にならない空白が生まれました。

     春の光が薄れ川面に移る桜の影が薄くなります。

    花びらは水に吸い込まれ形を失いながら遠ざかります。 

    それは消えていくものの定めです。

    そして私は無常の中に静かに立ち尽くすのです。

     いづかたも水行く途中春の暮

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