俳句の作り方 葛くずの俳句
うつしみのしじまとなれり真葛原 水野真由美みずのまゆみ
うつしみの しじまとなれり まくずはら
葛くずが秋の季語。
「マメ科の大型つる性多年草で茎は10メートル以上になる。
縦横に延びて地を覆い、木や電柱にからみつくなど繁殖力が旺盛である。
根から葛粉を採り、薬用・食用にする。
つるは行李こうりを編んだり、繊維を織物にも用いたりした。
葉裏が白く風に吹かれると、それが目立つことから『裏見葛の葉』といわれ
和歌では『恨み』にかけて詠まれた。」
(俳句歳時記 秋 角川書店編)
うつしみのしじまとなれり真葛原
うつしみのしじまとなれり真葛原
句意を申し上げます。
真葛原では生きている自分の体(現し身)が静けさそのものになるのです。
鑑賞してみましょう。
真葛原に立つと周りの音がすっと消えました。
風もなく草の影だけが静かにそこにありました。
その静けさの中では自分が ゛ここにいる゛感覚が弱くなります。
景色の静寂が大きくわたしを吞み込むからです。
耳をすますほど音のない世界が深くなっていきます。
周りがどれほど静かなのかお判りでしょうか。
その静けさの中ではこの身の重さがふっと軽くなるのです。
困惑した私は動けませんでした。
息づかいが真葛原に溶けていったとき、私の存在が静けさそのものになったように思えました。
「うつしみのしじまとなれり」とは、まさにこの感覚だったのです。
それは生きている体が静かな景色と一つになる瞬間なのです。
うつしみのしじまとなれり真葛原
