俳句の作り方 芒原の俳句
鎮魂の手の切り傷よ芒原 原裕はらひろし
ちんこんの てのきりきずよ すすきはら
芒原すすきはらが秋の季語。
「イネ科の大型多年草で日当たりのよい山野のいたるところに自生する。
花穂の長さは15センチから40センチで、秋の七草のひとつ。
風に一斉になびくさまは美しい。
細長い葉は刃物のように鋭く触れると指を切る。」
(俳句歳時記 秋 角川書店編)
鎮魂の手の切り傷よ芒原
鎮魂の手の切り傷よ芒原
句意を申し上げます。
反戦俳句です。
芒原で手を切りました。
その傷は鎮魂そのものです。
鑑賞してみましょう。
秋の芒原に立つと風の音だけが聞こえてきます。
私はふと手の切り傷に気づきました。
痛みは昔の戦争で失われた命へと思い至らせました。
芒原は戦争を思い出させます。
名前も知られないまま亡くなった人もいたでしょう。
彼らの苦しみや悲しみを語る人は少なくなりました。
手の切り傷は失われた命の痛みを私に思い出させたのです。
切り傷は治ります。
けれども戦死者はよみがえりません。
私は芒原に立ちながら無名の死者へ静かに祈りを捧げました。
秋風の中でいつまでも合掌している私がいました。
鎮魂の手の切り傷よ芒原
