俳句の作り方 天の川の俳句
天の川怒濤のごとし人の死へ 加藤楸邨かとうしゅうそん
あまのがわ どとうのごとし ひとのしへ
天の川が秋の季語。
「澄み渡った夜空に帯のように白々とかかる恒星の集まり。
北半球では1年中見られるが、秋が最も明るく美しい。
七夕伝説と結びついて、万葉のころから詩歌に数多く詠まれてきた。
俳諧以降は天の川自体の美しさを詠むことが多い。」
(俳句歳時記 秋 角川書店編)
天の川怒濤のごとし人の死へ
天の川怒濤のごとし人の死へ
句意を申し上げます。
天の川は怒涛のような勢いで「死」と言う人間存在の終極点へ向かっています。
鑑賞してみましょう。
大切な人の最期に立ち会ったとき、私はその場にとどまれなくなりました。
息遣いが途切れる瞬間の重みが胸の奥を押しつぶしてきたのです。
部屋を出ると夜気が冷たく感じられました。
私はただ歩きだすしかありませんでした。
見上げると天の川が横たわっています。
静止した光の帯を見つめていても、胸の中では激しい揺れが続いていました。
壮絶な死に直面したあとに、心は光を直視していました。
天の川はことばを失った私の感覚を静かに受け止めていたのです。
激しい揺れは死の事実そのものに向かう私の心の深い動きだったのです。
また、その揺れは私自身の「生きる」意味を揺さぶっていました。
天の川の静けさは、突きつけられた「死」の意味を際立たせていました。
私は体全体で、「天の川」を抱えたまま立ち尽くしていました。
天の川怒濤のごとし人の死へ
