俳句の作り方 天使魚の俳句
天使魚の愛うらおもてそして裏 中原道夫なかはらみちお
てんしうおの あいうらおもて そしてうら
熱帯魚・天使魚が夏の季語。
「美しい形と鮮やかな色彩が賞美される。
卵胎生は良く繁殖するが、水温の調節などの管理が難しい。
天使魚はエンゼルフィッシュのこと。」
(俳句歳時記 夏 角川書店編)
天使魚の愛うらおもてそして裏
天使魚の愛うらおもてそして裏
句意を申し上げます。
天使魚=妻と言う前提で読むと、妻の愛は片面でなく表・裏さらにその裏まであることが解ります。
この句は人間的な複雑さを表現しています。
鑑賞してみましょう。
天使魚を妻に重ねる時、まず清らかな白い輪郭が立ち上がります。
その白さは妻の日日の働きが静かに重なってできた層のようです。
余計な言葉を持たず、淡々と家庭を支える姿がそこにあります。
私は"表゛の妻の愛に身を置いていました。
愛には翳があります。
妻の沈黙の奥には翳りが息づいています。
それは責めるべきものでなく役割の重さが生む自然な翳です。
天使魚の白いからだの裏にわずかな暗さが宿るとき
私は"裏゛の愛の静かな層を見ていました。
妻と言う役割のさらに奥に個としての心が潜んでいます。
誰にも触れられない層の底に、深い孤独が宿るのです。
天使魚が泳ぐと淡い光を放ちますが彼女も孤独なのかもしれません。
天使魚の愛うらおもてそして裏
