俳句の作り方 栗の俳句
死の見ゆる日や山中に栗おとす 秋元不死男あきもとふじお
しのみゆるひや さんちゅうに くりおとす
栗が秋の季語。
「ほぼ全国の山地に自生するブナ科の落葉高木の実。
外側に棘が密生するいがのなかで育ち、成熟するといがのさけめからこぼれる。
笑栗わらいぐりはいがが開いた状態を微笑みになぞらえた言い方。
虚栗みなしぐりは皮ばかりで中に実のない栗。」
(俳句歳時記 秋 角川書店編)
死の見ゆる日や山中に栗おとす
死の見ゆる日や山中に栗おとす
句意を申し上げます。
栗の落ちる音で死が見えた日だったなあ。
鑑賞してみましょう。
山はひとつもあたたまりませんでした。
影が細り静寂のなかを時が進んでいます。
その静けさは生の匂いを拒んでいました。
私はただ冷たい空気の中を歩いていました。
栗の落ちる音が山の底から響きました。
その一音に死の翳がたちのぼりました。
今日と言う日に死が見えてしまったのです。
理由はありません。
その瞬間から山の空気は動かなくなりました。
栗の落ちた場所がわずかに暗く沈んでいます。
死の気配は説明を拒んだまま、栗の落ちた場所を覆いました。
死の見ゆる日や山中に栗おとす
